詩を読むような僕の独り学

近畿大学の図書館司書課程の学習記録ほか

5709 図書館情報資源概論 レポート

【設題】電子図書館の必要性を述べるとともに、日本の公共図書館が今後どのような情報資源を収集し、電子図書館サービスを提供すべきなのかを論じなさい。
【字数指定 2000字】(増減100字以内)

1. 電子図書館とはなにか
 電子図書館は、『図書館情報学用語辞典』によると、「資料と情報を電子メディアによって提供すること。とりわけネットワークを介して提供することをサービスの中心に据えて(中略)高度情報化社会の要請に呼応した新しい機能を実現させたシステムまたは組織、機関」と定義される。単なるコンピュータシステムから人的サービスを含むものまで、電子図書館の目指す像は様々だが、電子図書の提供サービス・全文データベースサービス・単なるネットワーク情報資源の蓄積だけではないことなどが必要条件とされている。[1]
電子図書館のプロトタイプ「アリアドネ」の発案者の一人である長尾真は、電子図書館の方向性について、本や情報を取り出すという従来の機能は「検索という段階からもっとナビゲーション、つまり案内という方向に行くのではないか」[2]と述べている。つまり、単に情報を蓄積するだけでなく、必要な情報へ適切に誘導し、さらにそのサービスに付加価値をつけることに、電子図書館の意義がある。
電子図書館が必要となった背景には、情報化社会により人々が要求する知識が多様化したため、利用者と情報を結び付ける重要性が高まったことがある。また、情報関連技術の発展により新たなサービスやシステムが生み出され、図書館を利用しなくとも情報を知ることが可能になったため、図書館はこれまでのように知識を得る唯一の機関ではなくなったという観点からも、電子図書館サービスが必要なのである。

2. 公共図書館による電子出版物のこれまでの提供について
 公共図書館による電子出版物提供の事例には、次のようなものがある。
(1) 電子書籍サービス
 奈良県生駒市図書館では、2005年にSONYの電子書籍リーダー「リブリエ」の利用者への貸出を行った。2週間の館外貸出を可能にするといったサービスを展開したが、2009年にSONYの電子書籍を購入する「Timebook Town」の終了が決まり、同図書館もサービスの提供を中止した。当時は電子書籍出版数が少なく、コンテンツが不十分だったことや、無線通信が低速だったことなどが、サービス終了の背景にある。
 2007年には、東京都・千代田区立図書館で「千代田Web図書館」が開始された。これは非来館型サービスとして初めて実施された、インターネット上で貸出・閲覧ができる電子書籍サービスである。
(2) 音楽配信・動画配信サービス
 公共図書館では、“ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)”の音楽配信サービスを提供している。利用者はIDとパスワードを入手してNMLにアクセスし、自宅で聴くことができる。このサービスを公共図書館で初めて開始したのは、2008年の岐阜市立図書館である。2015年9月現在では、全国約120の大学、学校、公共図書館に導入されているという。
 一方、ほとんどの図書館においては、動画配信や放送番組等は収集対象となっておらず、放送会社で制作されたコンテンツそのものを提供・配信している事例は少ない。過去の動画はインターネットによる公衆送信を前提とした契約処理がされていないことや、様々な人物の映り込みによる肖像権問題等の解決が困難なためである。
(3) デジタルアーカイブ
 デジタルアーカイブとは、「有形・無形の文化財をデジタル情報として記録し、劣化なく永久保存するとともに、ネットワークなどを用いて提供すること」[3]と定義されている。代表例には、岡山県立図書館の「デジタル岡山大百科」がある。現在多くの都道府県立図書館が地域資料などのデジタルアーカイブを公開している。
 しかしながら、予算・人員・ノウハウがない等の理由でデジタルアーカイブを実施できない図書館もあり、また、著作権処理に多大な労力を要するなど、課題も多い。

3.今後どのような電子図書館サービスを提供すべきなのか
 人類・地域の諸活動の成果を後世に保存することは公共図書館の使命である。それに加え、現代の情報化社会にあっては、図書館の利用価値を積極的に示す必要がある。そのため、上記で述べた課題の解決が求められる。電子書籍サービスは、今後さらに普及していくと考えられるので、ベストセラーを含む豊富なコンテンツを電子出版し、通信環境を改善するなど、紙媒体と同等のサービスが提供できるよう安定した利用環境を整えていくべきである。また、動画配信や著作物のデジタルアーカイブ化などを、スムーズに収集・保存・提供できるよう、権利に係る各種手続きの簡素化を行ったり、収集コンテンツや利用制限等について、民間事業を圧迫しないかたちで調整していかねばならない。
電子図書館は、単体ではなく、近隣の図書館や博物館等とのネットワーク的な連携によって、全体としてあらゆる情報を集積する機関となり得る。そのうえで、利用者が必要な情報にアクセスできるよう支援したり、知りたいこと以上の付加価値を提供できるよう、職員の人材育成も不可欠である。
電子図書館サービスには、動画やウェブサイトといった新しい分野の情報資源も広く収集するとともに、膨大な情報へのナビゲーション機能を提供することが求められている。


引用文献
[1]日本図書館情報学会用語辞典編集委員会(2013)『図書館情報学用語辞典 第4版』丸善出版, p.165
[2]長尾真(2003)「理想の図書館」. 国立国会図書館関西館(編)『図書館新世紀 国立国会図書館関西館開館記念シンポジウム記録集』日本図書館協会, p.4
[3]日本図書館情報学会用語辞典編集委員会(2013)『図書館情報学用語辞典 第4版』丸善出版, p.160

参考文献
根岸正光・猪瀬博(編)(1991)『図書館システムの将来像-密結合型図書館ネットワークと電子図書館-』紀伊国屋書店

 

◇◇◇

 

講評は「内容面ではやや抽象的です。公共図書館で収集・提供できていない情報資源について整理してまとめるとよいでしょう。2は、音声や動画の提供状況についても触れている点を評価します。」ということでしたので、参考にされる場合は留意ください。
※掲載するレポートや解答例は、個人的な記録として参考までに公開するものであり、これらを模倣して試験に落ちた場合も責任は負えません。また、いわゆるコピペレポートは禁止されておりますので、書き写しはご遠慮ください。

5703 図書館情報技術論 レポート

【設題】テキストから情報技術に関する章を4つ以上特定し、
①特定した各章の内容がどの様に関連しているかについて論述して下さい。
②更に、特定した各章の内容が組み合わされて図書館でどの様に応用されているか具体例を一つ挙げて論述して下さい。
【字数指定 2000字】(増減100字以内)

1.各章の関連
テキストの第1章「コンピュータに関する基礎知識」、第2章「インターネットに関する基礎知識」、第6章「データベースの仕組み」、第7章「検索エンジンの仕組み」の関連を以下に論じる。
(1)第1章「コンピュータに関する基礎知識」
1946年に最初のデジタルコンピュータが発表されて以来、その性能は年々向上し、膨大な量のデータを扱うことが可能になった。これは第6章のデータベース技術と関連する。また、形態も多岐にわたり低価格化も進んだことで、個人向けの端末としてパソコンが普及し、携帯型のノートパソコンや携帯電話、スマートフォンも一般化した。コンピュータが普及した結果、単体ではなく、LANや電話回線、ブロードバンド回線を用いてネットワークに接続して使用することが多くなった。これは第2章のインターネット技術に繋がる。
(2)第2章「インターネットに関する基礎知識」
第1章のネットワーク通信技術を活用し、インターネットが普及した。これにより遠隔地間での膨大なデータのやりとりが可能になった。その膨大なデータを蓄積するものが、第6章のデータベース技術である。
(3)第6章「データベースの仕組み」
データベースとは、第1章で高性能化したコンピュータ技術を用いて、検索できるように体系的に蓄積された情報の集合物である。膨大な情報から必要なデータを抽出するためには検索技術が必須だが、これは第7章と関連する。また、データベースは目的の情報が検索できるだけではなく、大量のデータをリアルタイムに管理することも可能である。
(4)第7章「検索エンジンの仕組み」
 検索エンジンとは、第2章のインターネット技術と第6章のデータベース技術をもとに、インターネット上の情報資源をデータベース化し、検索できるようにしたシステムである。Webページを自動的に収集するロボット型サーチエンジン(代表例「Google」)が、現在は主流となっている。これにより、キーワード等さまざまな条件での高速検索が可能になり、何万件と収集されたデータの中から、必要な情報を即座に引き出せるようになった。

2.図書館での応用例
上記で取り上げた情報技術を組合せて図書館で活用した例について、国立情報学研究所が提供するNACSIS-CATを中心に述べる。
目録所在情報サービスNACSIS-CATは、参加する図書館が所蔵する資料の情報をオンラインでデータベース化し、共同で利用するシステムである。NACSIS-CATのサービスと、各章の技術との関連は以下のようになる。
各図書館において蔵書登録を行う際に、NACSIS-CATにアクセスし、目録情報の登録またはダウンロードを行う。このとき各図書館と国立情報学研究所のサーバーを接続するが、ここに第1章のネットワーク技術と第2章のインターネット技術が活用されている。該当の目録情報を探すにはデータベースから検索を行うが、これは第6章のデータベース技術、第7章の検索エンジンの技術と関連する。紙のカード式図書目録ではできなかった、複数条件での検索や、書名や著者名の一部分での検索が可能となっている。
該当の書誌データがすでに登録されていれば、データをダウンロードすることができ、目録作成業務の負担を軽減することができる。データがみつからない場合には、新たに情報を登録することになるが、オンライン上のデータベースを更新することによって、今度は別の図書館がそのデータを利用することができ、効率的に業務を行える。膨大な目録データの蓄積・管理には、第6章のデータベース技術が使われている。そしてこれは第2章のインターネット技術を用いたネットワークで管理されているため、書誌データや所在などの情報の書き換えをリアルタイムに反映することが可能なのである。
また、各図書館では、NACSIS-CATからダウンロードした自館の蔵書目録データベースを用いて、利用者にOPACによる蔵書検索サービスを提供する。図書館は蔵書検索機能をホームページ上に公開するようになってきており、利用者はわざわざ図書館に出向かなくとも、自宅のパソコンや携帯電話を使って事前に検索し在庫を確認することができる。これは第1,2章のコンピュータの性能向上や低価格化、インターネットの普及といったことが背景にある。蔵書検索機能には、第6章のデータベース技術が活用されているため、キーワード等さまざまな条件での高速検索、複数人の同時利用、貸出状況のリアルタイム確認が可能である。
このように、情報技術の応用によって作り出されたサービスが図書館の機能を引き出し、利用者の利便性を向上させている。情報技術は日々進歩しており、今後はデジタルレファレンスサービスや作業の自動化(ロボット化)といった発展も見込まれる。図書館サービスを向上させるためには、最新の知識を取り入れて、運営面の効率化や利用者の役に立つよう活用する能力が求められている。

参考文献
『目録所在情報サービス』国立情報学研究所(最終アクセス2016年10月25日 23:54)
https://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/

 

◇◇◇

 

難しいと噂の情報技術論レポートですが、私も再提出になり、2回目で努力賞ということで合格にしていただけました。
このレポートは設題②について、技術の組合せの根拠・必然性の論述がまだ一部不明瞭とのことなので、参考にされる場合は気を付けてください。。
ちなみに、まえがきにあるとおり、1,2,3,6,7,8章が情報技術に関する章で、残りの章が図書館での応用の話です。個人的には、設題②で何を書くかを先に決めて、それを説明できるように設題①を組み立てていくのがいいかなと思いました。
※掲載するレポートや解答例は、個人的な記録として参考までに公開するものであり、これらを模倣して試験に落ちた場合も責任は負えません。また、いわゆるコピペレポートは禁止されておりますので、書き写しはご遠慮ください。

科目終末試験(11月・Web試験)終了

科目終末試験(11月・Web試験)終了しました。
はじめてのweb試験で緊張しましたが、なんとかまとめられたかな…。採点結果を震えて待ちます。

試験問題は、

◇生涯学習概論→2016年レポート設題とほぼ同じ

◇図書館情報技術論→電子ジャーナル関連

◇図書館制度・経営論→未来予測の研修関連

◇情報サービス論→レファレンスサービスの目的と、図書館学の五法則について

といったところでした。すべてテキストからの出題なので、そんなに難しくはなかったのですが、時間が結構ぎりぎりでした。

入力フォーム内ではコピペが一切できないので、私はwordに打ってから、文章「運営されている図書館にとって~」を「あああ」「いいい」とかに単語登録して順に打ち込んでいくという方式でやりましたw

おつかれさまでした。

メディア授業のテキスト購入

11月から後期のメディア授業の受講ができますが、そういえばテキストってどうするんだっけ?とすっかり忘れていたので確認したところ、面接授業の講義要項の33ページに、「テキストは事前に購入してください」との記載あり…。

しかし大学指定の書店(大学堂書店)は大阪市の店舗で買いにいけませんし、郵送での購入は現金書留や送料500円が必要だったり面倒そうなので、どうしたものかな、と思ったら、amazonで普通に買えました。
発行年とか確認してあまり古くなければ大丈夫だと思います。

◇情報サービス演習 指定テキスト

情報サービス演習 (現代図書館情報学シリーズ)

情報サービス演習 (現代図書館情報学シリーズ)

 

 

 ◇情報サービス演習 参考テキスト

情報検索の基礎知識 新訂2版

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情報源としてのレファレンスブックス

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