詩を読むような僕の独り学

近畿大学の図書館司書課程の学習記録ほか

司書課程 Web試験 過去問 参考例

近畿大学では、科目終末試験は会場受験かWeb受験のどちらかを選ぶことができます。

◇会場受験のメリットは?
問題集のうち奇数か偶数(年度ごとに交互)の番号が出題されると決まっているため、1科目につき10問分の解答を暗記していけばよい。
午前または午後に2科目受験する場合、時間配分は自分の自由にしてよい。
ただし、テキスト等の参照は不可、鉛筆ではなくペンで記入しなければならない、といった誓約がある。会場は期ごとに学外・本校が交互。

◇Web受験のメリットは?
家で受けられる。テキスト・参考文献・ネット、何を見てもよい。
ただし、出題範囲の指定がないため、事前の幅広い学習が必要。

わたしは、会場まで行くのが面倒、暗記するよりいろいろ見て書く方が得意、という理由でいまのところすべてWeb受験を予定しています。

 

しかしWeb試験の場合、どんな問題が出題されるか予想もできません。
ということで、過去問をいろいろ検索してまとめてみました。
設題の内容は当方で簡素化しています。こんなキーワードで聞かれるんだ~という参考になれば。
また、科目によっては他文献の参照や、テキストではなく自分自身の意見を求められる場合があるようです。

f:id:uonoushiro:20161031111018j:plain

5704 図書館制度・経営論 レポート

【設題】図書館の専門職が行うべき業務にはどのようなものがあるかを挙げ、それぞれ述べるとともに「これからの図書館像」(報告)を考察し、専門職としての司書のあるべき姿を論ぜよ。
【字数指定 2000字】(増減100字以内)


1. 図書館の専門職
専門職とは、裁判官、医者に代表されるように、国家資格試験にて社会的に認知されるようなものである。図書館の専門的職員は、通常司書資格を有するものを言うが、単に資格をもっていることのみでは専門職とは言い難い。司書は、レファレンス業務で質問に対する調査方法を指導する教育的機能や、主題知識を生かして利用者に必要な良書を選定する能力を有することなどをもって、その専門職性を認めることができる。そのようになるためには、司書資格に加えて、主題知識や書誌・図書館学知識など幅広い教養とキャリアをもち、指導能力を身につけることが求められる。
大学図書館で専門職が行う業務の例には、次のようなものがある。
①レファレンス業務
 司書職としての代表的な専門職業務である。利用者の質問の主題・専門性を理解した適切な処理、書誌の適切な提供や指導には、専門知識が必要。
②選定業務
 利用者のニーズに沿った適切な資料を収集しなければならない。これには、高度な主題知識や深い教養を有し、判断する力が必要。
③分類・目録業務
 適切な分類作業や、目録作業における件名付与作業には、主題知識や書誌学知識と高い専門性が求められる。
④情報調査業務
 コンピュータを活用し、データベース等から適切に情報を探索するには、レファレンスツール全体の専門知識が必要。
⑤文献探索指導業務、視聴覚資料利用指導業務、コンピュータ操作指導業務
 書誌等のレファレンスツール知識、視聴覚資料知識、周辺機器操作の知識などを有したうえで、利用者へ適切な指導をする力が必要。
 なお、公共図書館の司書職では、児童サービスや障害者サービスの担当者、行政資料や郷土資料などの特殊分野のレファレンス担当者などが、専門的職員として挙げられる。

2. これからの図書館像
 2006 年4月、「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が発表した『これからの図書館像-地域を支える情報拠点をめざして-(報告)』は、社会の変化や新たな課題等に対応して、これからの図書館運営に必要な方策等について論じたものである。報告書では、現代の日本は、少子高齢化や財政困難、急速な技術革新等による課題や変化に直面しているとしたうえで、これらの課題解決のために様々な新しい知識や情報を学習し続けることが必要となっていると述べる。このような状況の中で、「必要な知識や情報が適切に入手できるような環境の整備が不可欠である」[1]とし、その役割を担うのが図書館であるとしている。
 一方で、近年は厳しい財政状況にあり、司書・司書補の専任職員数は減少し、資料購入費も削減される傾向にある。これからの図書館は、単に本を貸出すのみでなく、社会に向けて、情報センター的機能や、地域振興の拠点・社会教育施設という新たな図書館活動の意義の理解促進を図る必要がある。報告書では、図書館は、「出版物に発表された正確で体系的な知識や情報を提供するとともに、インターネット上の多様な情報源の利用の機会を提供することができる」と所有資料の意義を述べ、さらに、図書館はこれらのあらゆる情報を一箇所で提供しうる「『ワンストップサービス』機関」[2]であり、これを利用するための情報リテラシーを育成する場であると提言する。
従来の「本を貸出すところ」というイメージを払拭し、このような新たな役割を実現して社会へ広めていくためには、図書館職員の能力向上が必要である。とくに、専門職としての司書のあり方は、利用者の図書館サービスに対する印象に直結するため、重要な要素であると考える。

3.あるべき司書の姿
 上記のような役割を図書館が果たすためには、レファレンスサービス、課題解決・調査研究の援助、専門的資料の提供などを充実させる必要があるが、これには司書の育成が不可欠である。報告書では、司書は専門的な知識に加え、「地域社会の課題やニーズを把握する能力、情報技術、図書館経営能力など、改革の進んだ図書館で必要となる能力」[3]を身に付けることが必要としている。まさにこういった点においてこそ、司書の力が発揮されるべきだと考える。資料や情報をそのまま提供するだけでなく、利用者が活用できるように配慮し、また次回からは利用者自身が自立した利用ができるよう指導するなど、ひとつの質問に対する答えにも付加価値を付けることが、司書の目指すべき姿である。そのためには、知識を蓄積するという日々の努力を怠らず、スペシャリストとして利用者と接し、提供するサービスの質をもって図書館の価値を高めるよう能力を磨き続けることが重要だと考える。

引用文献
これからの図書館の在り方検討協力者会議(2006.3)『これからの図書館像-地域を支える情報拠点をめざして-(報告)』文部科学省(最終アクセス2016年10月12日)
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/286184/www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06032701.htm
[1]「1.公立図書館をめぐる状況」
[2]「2.これからの図書館サービスに求められる新たな視点」
[3]「3.これからの図書館経営に必要な視点」

参考文献
日本図書館協会図書館運営に関する基本問題検討委員会(1996)『図書館運営のあり方を考える-ゆたかな暮らしをつくる図書館-シンポジウムの記録』日本図書館協会
大串夏身(2002)『これからの図書館 21世紀・知識創造の基盤組織』青弓社

 

◇◇◇

 

「とても良いレポートです。纏め方、参考文献、引用文の活用も高く評価できます。」と講評いただきました。
これからの図書館像』に書かれていることは、「こうしたらよくなりそうなのにな~」とぼんやり思っていることがわかりやすく文にされており、とても勉強になりました。
※掲載するレポートや解答例は、個人的な記録として参考までに公開するものであり、これらを模倣して試験に落ちた場合も責任は負えません。また、いわゆるコピペレポートは禁止されておりますので、書き写しはご遠慮ください。

5706 情報サービス論 レポート

【設題】利用教育(利用指導)の重要性を挙げ、それぞれについて簡潔に述べるとともに、実施のために必要な環境整備とは何かを考察し、論ぜよ。
【字数指定 2000字(増減100字以内)】

 1.利用教育とは
 「図書館利用教育」とは、『図書館利用教育ガイドライン』において「すべての利用者が自立して図書館を含む情報環境を効果的・効率的に活用できるようにするために、体系的・組織的に行われる教育」[1]と定義されている。また、『図書館情報学用語辞典』には「図書館の利用者および潜在的利用者の集団を対象に計画、実施される、組織的な教育的活動」[2]と定義されている。

2.利用教育の重要性と、必要とされる背景
 現代は情報化社会であり、膨大な情報が日々扱われているとともに、人々が求める知識も多様なものになっている。こうした状況のなかで、情報が正しいかどうか、有用かどうかを判断する「情報の選択能力」を身につけることと、情報入手のための調査法を学ぶことが必要不可欠なものになった。
 しかしながら、日本国内の小・中・高校の教育において、文献調査法を教える体制が整備できておらず、これを知らない学生が大多数という現状がある。そのため、大学教育のなかで文献調査法が次第にカリキュラム化されたり、図書館独自に指導を行ったりすることが増えてきているが、本来は高校までに十分指導し、効率的な調べものができるよう教育がされているべきである。大学図書館の利用教育では、新入生などを対象に、オリエンテーションを行ったり、図書館ツアーで館内を案内しながら各サービスを紹介したり、文献探索法やコンピュータリテラシーに関する教育を実施したりする。
利用教育は、単に学生のレポートや卒論の作成に必要なだけではない。『図書館利用教育ハンドブック‐大学図書館版』によると、資料を探索する過程そのものを学ぶことは、「情報を探すにはどのような手順、ツールがあるか」という普遍的に必要とされる概念を理解することであるとされる。そのため、様々なことに応用がきくのだと説明されている。[3]
 利用教育は、情報化社会を生き抜くために必要不可欠な能力であるとともに、生涯学習という社会教育を支える点でも重要である。そのため、図書館学授業や教員、大学図書館員によって展開されるのみでなく、公共図書館なども含めて社会的・国家的に実施し、すべての人が文献調査法を活用できるよう利用教育を充実させる必要がある。 

3.利用教育実施のために必要な環境整備
 図書館利用教育を実施するにあたっては、職員が個人的に活動するのではなく、環境を整備したうえで行う方が効果的で、将来的な発展も期待できる。大学図書館を中心に、必要な環境整備を以下に述べる。
(1)組織的な実施
 利用教育が継続的かつ均質なサービスとなるよう、図書館業務として組織的・制度的に整備する必要がある。職員による個人差や人事異動があってもサービスが変化しないよう、事務分掌規程や実施マニュアルに定め、館内研修などを行い、業務を標準化するのが望ましい。組織内での責任も明確にしておくことで、健全な発展に繋がる。
(2)予算措置
 組織的な活動を継続するには、予算措置が必要である。教材費や広報費など、利用教育を効果的に実施するためには費用がかかり、組織でなければ資金確保は難しい。また、最近の学生たちが親しみやすいよう映像メディアを利用した教育も効果があるが、周辺機器の購入には多額な予算を伴うので、計画的な準備を要する。
(3)教員との連携
 利用教育は、図書館利用を上手に行うことをもって教育効果を高めるという、教育支援である。そのため、教員と連携し、共通認識のもとで協力して効果的に行う環境を整えるのが望ましい。
(4)レファレンスツールの充実
 情報源の探索には、レファレンスツールを充実させることが必要である。これらが整備されていなければ、利用教育を受けても、探すための道具が不十分では教育効果をあげられない。しかしながら、予算規模の小さな図書館ではすべての資料を揃えることは困難である。こうした場合は、相互協力が可能なことや、近隣の図書館などへ照会をしたうえで、これらのサービスが利用できることを利用者へ情報提供することが重要である。 

4.今後の課題
 『図書館利用教育ハンドブック‐大学図書館版』によると、利用教育の重要性が高まったことについて、「図書館が情報を手にする唯一あるいは中核となる機関ではない場合があることの宣言でもある」[4]と述べている。
 情報やサービスが氾濫する現代では、図書館を利用しなくとも、好きな時に情報を検索し、知ることが可能となった。こういった状況のなかで図書館の利用価値を高めるには、例えばオンラインデータベースなどの電子媒体ツールといった新しい便利なサービスについて、積極的な利用教育によってPRしていく必要がある。図書館が将来にわたって人の学びを支援する存在であるためには、利用教育によって、利用者の自立した図書館利用を促進させるとともに、図書館自らが先進技術の効果的な活用を学び、実践していくことが重要だと考える。

引用文献
[1]図書館利用教育委員会(2001) 『図書館利用教育ガイドライン合冊版』日本図書館協会
[2]日本図書館情報学会用語辞典編集委員会(2013)『図書館情報学用語辞典 第4版』丸善出版, p.183
[3] 日本図書館協会図書館利用教育委員会(2003)『図書館利用教育ハンドブック‐大学図書館版』日本図書館協会, pp.12-13
[4]日本図書館協会図書館利用教育委員会(2003)『図書館利用教育ハンドブック‐大学図書館版』日本図書館協会, p.13 

参考文献
日本図書館協会図書館利用教育委員会(2003)『図書館利用教育ハンドブック‐大学図書館版』日本図書館協会
小田光宏(1998)『情報サービス概説』日本図書館協会
大高利夫(2006)『レファレンスツール活用マニュアル』日外アソシエーツ

◇◇◇


「大変良いレポートです。纏め方、参考文献、引用文の活用とも高く評価できます。」との講評をいただけました。嬉しい。
テキストもわかりやすく、私自身も「利用教育とはなんぞや?」という図書館初心者なので、面白かったです。
提出から10日ほどで返却されました。

※掲載するレポートや解答例は、個人的な記録として参考までに公開するものであり、これらを模倣して試験に落ちた場合も責任は負えません。また、いわゆるコピペレポートは禁止されておりますので、書き写しはご遠慮ください。

 

近代司書進捗(メディア授業申し込み)

昨日、「情報サービス論」のレポートを提出し、さきほど「情報サービス演習」のメディア授業を申し込みました。

近畿大学の司書コースは、スクーリングかメディア授業となる科目が2つあるのですが、後期の申請機関が10/1~10/15と結構短く、これを逃すと半年以上待たねばならないので、申請条件であるレポート提出を急いで済ませました。

これから試験等でどれだけ忙しくなるか予想できないので、「情報資源組織演習」は、ひとまず来年の前期にまわしたいと思います。