詩を読むような僕の独り学

近畿大学の図書館司書課程の学習記録ほか

5702 図書館概論 レポート

【設題】公共図書館を1つ選んで、設備(規模、単独館か複合館)、立地、蔵書数、貸出数、図書館職員数、実際の図書館サービスについて調査やインタビューを行いなさい。公共図書館は、中央館、分館、地域館、分室または公民館図書室を1つ選びなさい。必ず図書館名と所在地を記入すること。この調査を通じて、対象とした公共図書館に期待することおよび感想を述べなさい。調査前にアポイントを取ることが望ましい。

【字数指定 2000字】(増減100字以内)

 

 XXにある、XX市立XX図書館について調査を行った。なお、以下のデータは注釈がないものについてはすべて2015年のものである。

1.立地
 XX図書館は、JRXX線XX駅に直結する商業ビルの5・6階部分に位置する。駅南口の再開発事業により、2013年に現在の場所に移転した。ビルは商業施設と高層マンションが併設した複合施設で、駅から徒歩1分程度とアクセス性が高く、子どもからお年寄りまで多様な利用者が集まりやすい。

2.設備
 延べ床面積は4497㎡で、XX市立図書館12館のうち最大規模である。駅からのアクセスおよび館内の移動は、エレベーターが設置され、フロアも段差がなく、バリアフリーである。ビルの3~6階部分はXX図書館の自動書庫になっており、図書の取り出し・戻しが自動で行える。本はすべてICタグで管理されているため、カウンターに並ばなくても自動貸出機により10冊程度を一気に読み込むことが可能となっている。
 読み聞かせを行う「おはなしのへや」は、かまくらのようなドーム型のデザインで、子どもにとって特別な雰囲気が演出できるようになっており、人気があるという。
 開館時間は、平日が午前9時30分から午後9時、土・日・祝日が午後5時までとなっており、とくに平日は会社帰りにも余裕をもって利用できる。

3.蔵書数、貸出数、図書館職員数
 蔵書数は約37.5万冊(うち開架図書23.4万冊)。そのうち児童書は6万冊、視聴覚資料は6千点ある。個人利用の貸出数は176.8万冊である。XX市民ひとりあたりの貸出数は平均4.6冊だが、XX区(2016年4月1日現在人口24.8万人)のひとりあたりの貸出数は7.1冊と、市内平均を大きく上回っている。
 職員数は、専任職員19名(うち司書10名)、嘱託職員10名となっている。 

4.図書館サービスについて
(1)貸出・返却・予約
 貸出には利用者登録の必要がある。対象者は、XX市在住か、市内への通勤・通学者とされている。貸出カードは市内の市立図書館共通で利用でき、どの館から返却してもよい。開館時間外は、各館や行政サービスコーナー等に設置されている返却ポストが利用できる。
 貸出点数は、本・雑誌10冊、CD3点以内である。貸出期間は2週間で、期間の延長は、予約のある本等を除き、1回に限り2週間の延長が可能。
 本の予約やリクエスト、貸出期間の延長申請などは、図書館カウンターからの申し込みに加え、電話、インターネットのホームページからでも受け付けている。

(2)読書案内
 新着図書リスト(一般資料、地域資料)、おすすめ図書リスト(子供向け、ヤングアダルト向け)、各種パスファインダーなどが配布されている。展示は、特集専用の棚で定期的に入れ替えて行われており、調査時点では「読書100選」のコーナーや市内で開催される映画祭に関するコーナーなどがあった。

(3)インターネットサービス
 館内にはパソコン備え付けの席が14席あり、インターネットやデータベースの閲覧などができる。パソコン席は、貸出カードにより申し込みをし、1回30分、1日2回まで利用が可能。また、電子機器の持ち込みやdocomo Wi-Fi、フレッツスポットの利用ができ、電源の提供も行われている。

(4)児童サービス、障害者サービス
 複数のボランティアグループにより、各種読み聞かせ会が行われている。毎週水曜日と第2土曜日は3~5歳向けの会、第2土曜日は小学生向けの民話・語りなどを中心にした会がある。その他、「親の気持ち、子どもの気持ち」をテーマにした小学生~大人向けの会や、乳幼児向けの会など、毎月多様なプログラムを開催している。また、読み聞かせボランティアを始めたい人向けの入門講座の講師を図書館職員が担当することもある。
 障害者向けには、拡大読書器が2台備えられており、大活字本や対面朗読の提供も行っている。 

5.XX図書館に期待すること、感想

 XX図書館は、最新設備や利用のしやすさ、高いデザイン性などから、移転当時から話題になっていた図書館である。実際に訪れてみると、平日の昼間でも200席以上ある閲覧席のほとんどが埋まり、パソコン席でも年配の方がインターネットを利用している光景が見られ、多くの人が活用していることを肌で感じた。また、貸出システムや書庫の自動化が進んだことで、カウンター業務が軽減され、相談・レファレンスカウンターには4人ほどの職員が常駐できている。気軽に相談しやすい雰囲気が生まれているので、利用者が図書館を使いこなせるよう積極的に支援していってほしい。
 駅からのアクセスの良さや、開館時間が長いといった便利さがフォーカスされやすいが、インターネットから予約や延長が可能であることや、たくさんの読み聞かせ会を行っていることなど、充実したサービスがあることを広く発信し、市民の文化活動の中心となってほしいと思う。

参考文献
日本図書館協会図書館調査事業委員会編(2015)『日本の図書館 統計と名簿 2015』日本図書館協会
「XX市立図書館ホームページ-図書館条例・各種報告書-各種統計」XX市立図書館

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図書館サービス概論のレポートとかなり内容がかぶるので、並行して進めるといいと思います。