詩を読むような僕の独り学

近畿大学の図書館司書課程の学習記録ほか

5710情報資源組織論 レポート

【設題】指定したキーワードをすべて使って、各設問の解答を完成させてください。
Ⅰ.目録作成業務にコンピュータを導入することによって、いかなる成果が得られるか、特に集中目録作業と共同目録作業との関わりから論述してください。
<キーワード:MARC、集中目録作業、共同目録作業、総合目録、書誌ユーティリティ>
Ⅱ.日本十進分類法(NDC)の特徴について長所と短所を中心に論述してください。
<キーワード:総記、十進記号法、列挙型分類法、補助表>
【字数指定 2000字】(増減100字以内)

 

 (1)設題Ⅰ
 集中目録作業と共同目録作業との関連を中心に、目録作業のコンピュータ利用による成果や課題を考察する。
 集中目録作業とは、一つの、または限定された機関が集中的に目録レコードを作成する作業方式である。現在は機械可読形式の目録レコードが主流であり、その作成作業を「MARC」、作成されたものを「MARCレコード」という。図書館はこのMARCレコードを自館のシステムにコピーすること(コピー・カタロギング)で、蔵書目録の更新が出来る。日本においては国立国会図書館が作成するものが代表的だが、民間企業の作成するMARCレコードを図書館資料の納品時に同時に受け入れる例が多い。
 共同目録作業とは、多くの図書館が共同・分担して目録を作成する作業方式で、ネットワークで結ばれていることを前提とした仕組みである。複数図書館が共通にアクセス可能なデータベースを維持管理する手法が主流だが、その管理組織を「書誌ユーティリティ」という。参加館は目録レコードを共同で作成するとともに、その成果を自館の目録作業で利用する。書誌ユーティリティが提供するデータベース中に対象資料が登録されていない場合は新規に登録作業を行うが、これは最初に資料を受け入れた図書館だけが行えばよく、他館はそのデータを利用できるので、業務の効率化に役立っている。また、参加館の所蔵記録も同時に蓄積されるため、データベース上に「総合目録」が形成されることになる。これにより、複数館の蔵書目録の横断検索や、相互貸借の効率化など、業務の軽減が期待できる。
 目録作成作業にコンピュータが導入されたことで、複数図書館が協力して目録を作成・利用できるようになり、各館あたりの業務量が大幅に軽減された。また、共通のデータ形式を用いることで、業務の標準化が図られたり、総合目録形成時のデータ集約の煩雑さが解消されるなど、作業効率の向上に寄与した。
 一方で、共同目録作業では、登録するレコードに誤りや重複がないよう担当者の技術向上が必要であるなど、品質面での担保が難しいという課題がある。

 (2)設題Ⅱ
 日本十進分類法(NDC)とは、日本の代表的な標準分類表である。基本的にはデューイ十進分類法にならい、主類区分はカッターの展開分類法に基づいて構成され、日本の事情も考慮したものとなっている。その特徴について、以下に考察する。
 NDCは、分類項目をあらかじめ分類表中に列挙しておき、その中から主題に対応する項目に分類する列挙型分類法を採用している。この分類法による長所は、資料の主題を明確に区別できる点である。しかし、すべての主題を列挙しておくことは不可能なため、複数の要素をもつ主題を分類できないことが多い。そのためNDCでは、十進記号法と補助表を用いることで柔軟な対応を可能としている。
 NDCの採用する十進記号法は、階層構造を数字で表現でき、記号と分類の体系が一致してわかりやすく、新たな区分原理にも対応可能という長所がある。一方で、常に9区分の枠組みの中で対処せねばならない制限がある。この点について、NDCでは次のような対応をとる。区分が9を超える場合は、関連性のあるものを同一記号にまとめたり、「その他」の区分を設けたりする。9に満たない場合は、その下位区分の主題の昇格などの対応を行う。なお、このような対応は十進記号法の長所である分類体系の階層性を崩すため、NDCでは、分類項目名の位置を揃えたり字下げなどによって階層関係を保つようにしている。
 NDCの分類作業では、各種注記などを参照する必要があるため「細目表」を使用する。NDCの細目表は、知識の総体を9つに区分して1から9で表示し、次に各領域にまたがる総合的・包括的な内容を「総記」として0に割り当て、合計10区分にグルーピングする。このような作業を各領域で必要十分なまで展開していくことで、細目表が構築されている。
 分類項目が細目表中にない場合は、「補助表」の記号を合成して適切な項目を設定する。NDCには、一般補助表と固有補助表がある。一般補助表は、かなりの程度共通的に適用できるもので、形式区分や地理区分など6種類がある。固有補助表は、一つの類の中で部分的に適用される。これらにより、NDCは複雑な主題にも柔軟な対応が可能となっている。
 NDCは、列挙型分類法と十進記号法、補助表の応用により、主題の分類構造の理解がしやすく、新たな区分や複雑な区分にも対応できるなど融通がきき実用的である点などが長所としてあげられる。一方で、今後、学術研究の細分化にともなう分類項目の複雑化が予期されるため、分類手法の改良や担当者の十分な理解が求められると考えられる。

 (3)おわりに
 目録作成作業や分類法の発展により、図書館ではカード目録を作成していた頃などと比べ作業効率が大幅に改善された。その成果を業務の効率化のみにとどめず、作業軽減によってあいた時間や、形成されたデータベースを、いかに利用者の役立てるかが今後の重要な課題である。情報技術の進歩や複雑化する分類項目などに対応していけるよう、図書館職員の研鑽もますます必要になると考える。

参考文献
志保田務・高鷲忠美編著(2016)『報資源組織法 第2版』第一法規株式会社
日本図書館情報学会用語辞典編集委員会(2013)『図書館情報学用語辞典 第4版』丸善出版

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テキストの内容に馴染みがなさすぎて、理解するまでかなり時間がかかりましたが、最終的にはすごく興味をもてる分野になりました。