詩を読むような僕の独り学

近畿大学の図書館司書課程の学習記録ほか

5705 図書館サービス概論 レポート

【設題】身近な公共図書館(都道府県より、市町村立が望ましい)を観察し、このテキストに書いてあることと比較しつつ、その図書館の特徴を述べ、またあなたの具体的で実現可能な希望を列挙してください。
【字数指定 2000字】(増減100字以内)

  

XX県のXX市立XX図書館およびXX市立図書館全体について調査した。XX市には12館(分館含む)の市立図書館があり、そのうち中央図書館の機能を有するのがXX図書館である。
なお、以下のデータは、2015年度の調査に基づくものである。

 

1.基本的なサービス
(1)閲覧・貸出
【XX市全体】
蔵書数:191.6万冊 貸出数:677.3万冊
人口:143.4万人 一人あたり蔵書数:1.33冊 一人あたり貸出数:4.72冊
【XX図書館】
蔵書数36.1万冊 貸出数:172.2万冊
人口24.9万人 一人あたり蔵書数:1.45冊 一人あたり貸出数:6.91冊
【政令指定都市全体】
蔵書数:4600.9万冊 貸出数:11992.2万冊
人口:2722.1万人 一人あたり蔵書数:1.69冊 一人あたり貸出数:4.41冊 

 XX市全体の一人あたり蔵書数は政令指定都市平均より少ないが、一人あたり貸出数はXX市全体が上回っている。

XX市では市内の図書館共通で利用できる貸出カードを発行し、館内の端末またはインターネットによりどこからでも市内図書館の図書の横断検索および予約や取り寄せができるようになっている。貸出の延長はインターネットからの受付も可能である。また、市内の図書はすべてICタグで管理されており、自動貸出機によりカウンターに並ばずに借りられる。図書は市内のどの館からも返却でき、開館時間外は、各館や行政サービスコーナー等に設置されている返却ポストが利用できる。こうした利便性の高さによって平均より少ない蔵書数を市内で連携し有効活用して補い、一人あたりの貸出数をのばしていると考えられる。

(2)読書案内
 対象者を学年別に分けたブックリストやパスファインダー等各種資料を用意しており、市内共通で配布している。ブックリスト等に関連する展示をしている館もある。

(3)視聴覚サービス
 視聴覚資料は、XX、AA、BB図書館の3館に集中している。館内に利用ブースを設置し、時間制限などのルールにより公平に使えるよう運営されている。

(4)レファレンスサービス
 XX図書館では、自動書庫や自動貸出機を導入するなどカウンター業務の負担を軽減したうえで、レファレンス専用カウンターに常に職員を複数名配置し、利用者の相談に対応している。

(5)課題解決支援サービス
 XX市では学校教育支援を行っているのが特徴である。職場体験や、クラス・グループでの来館や調べ学習に応じるほか、テーマに沿った資料をあらかじめ選書した授業支援図書セットなどを貸し出している。

 

2.対象別サービス
(1)児童サービス
 複数のボランティアグループにより、発達段階に応じた読み聞かせ会が行われている。乳幼児・小学生向けの会だけでなく、親子で楽しめる会など、毎月多様なプログラムを開催している。また、読み聞かせボランティアを始めたい人向けの入門講座の講師を図書館職員が担当することもある。

(2)ヤングアダルトサービス
 中高生が手作りした図書紹介のポップを設置したり、中高生向けに特化した市共通のブックリストを年二回発行したりしている。

(3)高齢者・障害者サービス
 郵送貸出や対面朗読の提供などを行っている。市内全体で、大型活字本9156点、拡大写本957点、点字図書は66点、布の絵本240点が配備されている。XX図書館では拡大読書器が利用できる。

(4)多文化サービス
 外国語資料や新聞などは用意されているが、館内の掲示やサインは多言語に対応しきれていない。XX市図書館ホームページは、利用案内など一部のみ英語・中国語・韓国語に対応している。

 

3.実現可能な希望
 XX市立図書館は、市内全館でICタグの導入を完了している。ICタグの普及率は国内で10%程度であるため、いちはやく先進的なサービスを実践していると考えられる。それにより、全館に自動貸出機も導入されたが、その一方で、自動予約棚のあるXX図書館における自動貸出機の利用率は81%だが、他の館では22~24%程度の利用に留まっている。このように最新設備が十分に利用されていない状況があるため、館内周知や利用案内などにより、活発な利用を促していってほしい。
 なお、貸出システムや書庫の自動化が進んだことで、カウンター業務が軽減され、レファレンスカウンターなどで気軽に相談しやすい雰囲気が生まれているので、利用教育を積極的に実施し、利用者自身が図書館を使いこなせるよう支援していってほしい。
 図書館を利用していない潜在的な利用者や、図書館の新しいサービスに疎い利用者は大勢いる。そのため、新たなサービスの内容や、レファレンスサービスを受け付ける準備が整っていることを定期的に周知したり、さまざまなメディアを利用した印象付けを行うなど、図書館を効果的に活用してもらえる仕組みを構築してほしい。

参考文献
日本図書館協会図書館調査事業委員会編(2015)『日本の図書館 統計と名簿 2015』日本図書館協会
「XX市立図書館ホームページ-図書館条例・各種報告書」XX市立図書館

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話題になっていた綺麗な図書館が近くにあったので訪問してみました。
図書館概論のレポートとあわせて進めるとよいと思います。