詩を読むような僕の独り学

近畿大学の図書館司書課程の学習記録ほか

5707 児童サービス論 レポート

【設題】「読書の楽しみ」が子どもの成長に果たす役割を述べ、児童サービスの必要性を説いてください。そして子どもと本を結ぶために、あなたならどのような働きがけをしますか。具体的に述べてください。
【字数指定 2000字】(増減100字以内)

1.「読書の楽しみ」が子どもの成長に果たす役割
 子どもは本を読んでもらったり、自分で読むと、たくましい想像力で本の中に入り込み、本の登場人物となって考え行動し、喜怒哀楽を味わうことができる。これが子どもにとっての楽しみであり、それにひかれて次々本を読むようになる。
 読書経験の積み重ねは、子どもが本の登場人物となってする様々な体験の積み重ねとなる。これが感性と知性の両面から、子どもの精神の成長を促す役割を果たす。愉快・痛快ばかりでなく苦しみや我慢に耐えることで、思いやり、優しさという人間らしい感性が身に付く。また、思考力、判断力などの知性の働きが養われ、その子なりの価値観が形成され、それが個性となるのである。
 子どもが発達成長するにつれ、読書の内容も多様になる。童話や空想の物語ばかりでなく、知識・科学分野の本、スポーツや趣味の本、実用書にも関心をもったりして、ますます個性を伸ばしていく。
 このように、「読書の楽しみ」は子どもに精神面での成長や人間的な成熟を促す役割がある。その効果が発揮されるためには、強制されて読むのではなく、自由な意思で読み、心から楽しむことが必要である。心に深く残り知識となるのは、強い感情を伴う体験だけであり、また、それは心が解放された状態のときに起こりやすいためである。

2.児童サービスの必要性
 児童サービスは、子どもに読書の喜びを知ってもらうために、公共図書館が行う「子どものための図書館サービス」である。それは、子どもの読書の意義を認めて、子どもと本を結ぶ様々な活動や配慮のことであり、そのための環境づくり等を含めた総称である。自治体が公費を投入して「公立図書館システム」を整備するのは、個人的な営みである読書が人間の暮らしや社会の発展に有益であること、子どもやヤングが読書をすることはその発達や成長に役立ち、将来のよりよい社会の構築に役立つと認められるからである。児童サービスには、次のような意義がある。
 子どもは図書館で、老若男女、様々な人や子どもを見る。その中で、本を皆で共有している、本の喜びを共有しているという感覚が育つ。図書館は読書を通して、子どもに他者や社会と繋がっているという感覚を育てる社会的機能がある。
 また、子どもは読書の喜びを知って図書館に通うようになると、そこに自分の居場所をみつけ、自分の図書館を大事にする気持ちをもつ。規則を守れるようになり、友達にも勧めたりするうちに「みんなの図書館」を大事にしようという「公共性」の理解へと繋がるのである。このことは、幼い頃から地域の図書館に子どもを連れて行く意義ともなる。
 このように児童サービスには、他者や社会との繋がりの獲得や公共性の理解を促すという社会的意義があり、この点に必要性が見出だせる。

3.子どもと本を結ぶ働きかけ
 近年、本や環境など条件に恵まれていても子どもが本を読まないという状況がある。そのため、子どもと本を結ぶ積極的な働きかけが必要である。方法としては、フロアワークや読み聞かせ、レファレンス等、本を使って子どもと接する「直接的な活動」と、本の分類・配架などの環境整備や展示・広報等によって読書を勧める「間接的な活動」がある。それぞれの方法について、私が行いたい活動を以下に述べる。
(1)直接的な活動
 まだ文字が読めなくとも、幼いうちから本にふれて想像力や興味関心を培うことは重要である。そこで、アニマシオンの方式を取り入れて、幼い子どもを中心とした読み聞かせ会を定期的に開催したい。集中力が継続しにくい子どもも、クイズや対話など遊び形式にすることで、楽しみながら参加できると考える。読書は一人で楽しむものになりがちだが、他の子の行動や意見を知ったり、楽しさを共有することは、ただ聞く以上に貴重な体験になると考える。
 活動を効果的に行うには、取り上げる本やテーマを日頃から研究し、子どもが聞きやすい話し方などを身に付ける必要がある。また、ある程度の騒音は気にせずにいられるスペースが必要であるとともに、そのような幼児向けの場所と活動があることを両親等にも積極的にPRし、気兼ねなく来館してもらわねばならない。
(2)間接的な活動
 子どもが本を探しやすいよう、児童書の配架に十分配慮したい。表示や案内図はわかりやすくし、子どもの目の高さからも見やすく並べることが重要である。また、いつも同じところに同じ本があれば、本を元通りにしまうことを覚えるきっかけになるため、こまめに整頓する必要がある。
 本の展示については、学校と連携して学習内容を把握し、休暇中の調べ物に役立つ本を揃えるなどして、子どもに図書館の使いやすさを印象付けることが効果的だと考える。「図書館は便利、面白い」と思った子どもは、友達にも広めてくれる可能性があるからである。

参考文献
堀川照代(編)(2014)『児童サービス論 JLA図書館情報学テキストシリーズⅢ 6』日本図書館協会

 

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3つの設問のうち、1つ目がどうもうまく書けず、二度の書き直しを経て合格にしていただきました。他の部分は最初の提出からほぼ変えていないので大した労力ではありませんでしたが、テキストの1~3ページだけは無駄に覚えてしまった。
テキストの該当する部分を、具体的に不足なくまとめるといいと思います。

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